Research Projects

予測的運動制御に関わる皮質-皮質下神経ネットワークの解明とその操作 

脳科学の発展によって、身体を介さずに脳活動から直接外部環境とインタラクションする技術(Brain-machine-interface、BMI技術)が開発されています。しかし身体が物理的制約から解放されたとき私たちの認知や行動の仕方はどのように変わってしまうのでしょうか?私たちは動物が物理的制約のない「新しい身体」を獲得した際に中枢神経系がどのように適応するのかを明らかにするために、1)双方向性BMI技術の開発、2)大規模神経活動の解析と操作、3人工神経ネットワークや制御モデルによるシミュレーションを用いて、大規模な身体性の変化に対する適応メカニズムを明らかにします。

「超適応」を引き起こす神経回路の生成と解明

ヒトをはじめとする哺乳類の中枢神経系では、急性/慢性の障害が生じた場合「通常の適応」の範囲を超えた大規模な神経ネットワークの再構成、すなわち「超適応」が生じることが知られています。それでは一体このような「通常の適応」を超えた「超適応」を引き起こすメカニズムは何なのでしょうか?本研究では1)ブレインコンピューターインターフェース(BCI)を用いた新しい身体性への神経適応過程の研究と、2)「超適応」を再現する人工神経回路モデルを組み合わせることで「通常の適応」とは異なる「超適応」を引き起こす神経メカニズムを明らかにすることを目標とします。

過去の感覚情報を未来の運動制御に活かす神経機構の生成と解明

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」—外界の変化や自分自身の行動の結果を予測して、それを次の行動選択に活かしていくことは、我々動物の基本的な行動戦略です。それでは私たちはどのような中枢神経メカニズムによって、自分の行動の結果(未来)を予測して運動指令を決定しているのでしょうか?このプロジェクトでは1) 過去の感覚情報から身体状態を推定する「人工神経ネットワーク」を構築し、さらに2) 前頭-頭頂皮質の広範囲神経活動の解析や操作と組み合わせることで、予測的な運動制御がどんな神経メカニズムによって実現にしているのかを明らかにします。